想いを大切にする。エピソード

想いを大切にする。エピソード

2018.9.10五感が呼び起こしてくれる あたたかくて、穏やかな記憶

お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。

 

しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はないのです。

 

私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じとり、つなぐことを使命としています。

 

「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想い出のストーリーをご紹介させていただきます。

 

ご遺族の気持ちをほぐし寄り添う、一杯のコーヒー

 

私は葬祭サポート課に所属しています。

この部署はいわゆる「ご葬儀の裏方」的な仕事で、主に料理や返礼品の発注、事前相談など、事務全般を担当しています。

 

今回はご遺族が会館にいらっしゃった際に、気を付けている事をお話しします。

 

想いを大切にするエピソードNo.19-1

 

病院より会館に来られ、故人様をお寝かせし、その後、弊社の担当者とご遺族が打ち合わせをする際、私は必ず温かいコーヒーを淹れて、お部屋にお持ちしています。

 

大切な人を亡くしたという非日常的な出来事と空間の中で、一瞬でも落ち着けるようなひとときを提供したい、そう想っております。

 

全く状況は異なりますが、旅館やホテルのウエルカムドリンクのように、まずはご挨拶のツールとして、お通夜・葬儀という時間をこの場所で過ごして頂くにあたって、ご遺族の悲しみや疲労、そして緊張を少しでもほぐしてさしあげたい。

 

一杯のコーヒー、ほんのささやかなことではありますが、ドリンクをお出しした際の笑顔やしぐさ、何気ない身振りによって、この場所のイメージが変わり、少しでもスタッフに声を掛けやすい雰囲気を作っていけたら・・・そんな想いでお出ししております。

  

コーヒーの香りが呼び覚ました、遠い母との思い出

 

ある日のこと、ご葬儀の依頼がありました、いつもと同じように、温かいコーヒーをお淹れし、お母様を亡くされた娘さんの前にそっとお出ししました。

 

すると、うつむかれていた顔を上げ、「母はコーヒーが好きで、よくコーヒーを飲んでいたんです」と、話かけてくださいました。

 

いつも飲みかけのコーヒーが入ったマグを置いていた台所、そしてその足元には大きな犬がいた光景を思い出したそうです。

 

その台所があった家というのは、今はもうないそうなのですが、幸せだったあの時の記憶が遠い彼方から呼び覚まされ、懐かしい気持ちになったと言ってくださいました。

 

お別れは悲しいことですが、忘れかけていた幸福な時間、一緒に過ごした温かい記憶も、悲しみとともにやってくることがあるのだと教えていただきました。

 

コーヒーの香りをまとっていた母の居場所。香りにまつわる思い出といった五感からの記憶は、例えば一杯のコーヒーがきっかけのように、ふとした瞬間に蘇ってくるのかもしれません。

 

今では娘さんご自身もコーヒー愛飲家として、その香りを台所で楽しんでいるそうです。

 

「息子もいつかこんな風に私を思い出すのかも」そう言って、腕の中で眠っているお子さんに目をやったのを鮮明に覚えています。

 

想いを大切にするエピソードNo.19-2

 

あるきっかけのひとつによって、その方の琴線に触れることができ、お別れという悲しいピースのなかの ひとかけらにでも、大切な想い出のピースを見つけてもらえたなら、それは私たちがお手伝いをさせていただくなかでこの上ない幸せかもしれません。