想いを大切にする。エピソード

想いを大切にする。エピソード

2018.1.15法話が教えてくれた、故人様とご遺族を結ぶ約束

お葬式とは、大切な方との悲しいお別れの式ではありますが、実は小さな小さなよろこびのシーンが生まれる瞬間があるのです。

 

それは、家族が紡ぐ心あたたまるストーリー。

 

大切な方との別れのひとときを温かい思い出として残されたご遺族の心の中に生き続けてほしい。

 

大の葬祭では、そんなお手伝いをさせていただいております。

 

故人様に伝えたいことはありますか?

 

大の葬祭 想いを大切にするエピソードNo11 1-1

 

みなさんもご存知かと思いますがご葬儀の際、ご住職さまよりお説法というものがあります。

 

仏さまの教えを説かれることで、故人様を偲び、ご遺族と参列者のみなさまの悲しみの心を軽くしてくださいます。

 

あるお寺さんのお説法で印象に残った言葉があります。それは「亡くなられても24時間以内はまだ耳が聞こえる」というもの。

 

その話を聞いてからというもの、私はご遺族が死亡診断書を受け取る一番最初の段階で必要事項をお伝えしたのち、こうお伝えしています。

 

「余談ではありますが、故人様は24時間以内であればまだ耳が聞こえているそうです。少ない時間にはなりますが、お側で想いを語ってあげたらまだ伝わるのかなと思います」

 

こうした言葉を聞いた直後、困惑されますが、しばらくすると「そうなんですか」と理解されたうえで、

 

「お疲れ様、おじいちゃんよく頑張ったな」

 

と、お声がけされるお姿を何度も見させていただきました。

 

 

果たせなかった試合観戦と伝えることができた勝利宣言

 

大の葬祭 想いを大切にするエピソードNo11 1-2

 

あるご家族のおじいさまが亡くなられました。私は先の話をさせていただきました。

 

おじいさまは大の野球好きで、お孫さんが生まれた時からいつもボールを握らせ、3歳の誕生日には子ども用のバットをプレゼントするほど、孫に野球をさせたいという強い夢があったと言います。

 

お孫さんが遊びにきた時は、いつもボールを投げてバットを振らせていたそうで、お孫さんも真冬でもバットとボールを持って「外いこ!」と、おじいさまの手を引いて玄関を飛び出して行くほど、野球を好きになっていったそうです。

 

また、おじいさまは酔うといつも、「おれはいつか甲子園に応援に行くんや!」と、カボスをギュッと絞った焼酎を片手に熱く語っていたそうです。

 

そんなお孫さんも小学校に上がり、ついにリトルリーグに入団。

 

3年後、初めて背番号をもらい初めての試合出場を伝えた時は、おじいさまは体調を崩し病院へ入院していたにもかかわらず、「早く退院して応援に行かんと」と、病院のベッドの上で大喜びして意気込んでいたそうです。

 

しかし最期の時は思いのほか早くやって来たのです。それはちょうど試合の一週間前の出来事でした。

 

ご葬儀の打ち合わせの際、私は冒頭の話を喪主であるお孫さんのお父さまにお伝えしました。それを聞いてから、しばらくして控え室に持って来たのは野球のユニフォーム。

 

背番号10が付いた真新しいユニフォームをお孫さんに着せ、こう告げました。

 

「じいちゃんな、まだお前の声が聞こえるけん、勝利宣言しろ」と。

 

お孫さんは力強く「おれ、ホームラン打つけん!」と一言、故人様にお話されたのです。

 

きっとその言葉はおじいさまの耳に届いたことでしょう。言葉だけでなく、真新しいユニフォームに袖を通した凛々しいお孫さんの姿もきっと見えたと思います。

 

私たちの仕事は、通夜と葬儀をただこなすだけではなく、“想い”のかけらをできるだけ拾い集め、少しでも故人様とご遺族の間にある想いをつなげることだと思っています。

 

今後もあらゆる”声”を聞き、伝えることができるよう努めていきたいなと思います。