想いを大切にする。エピソード

想いを大切にする。エピソード

2019.4.10大切にしている2つの儀式

納棺の儀にご遺族さまが携わっていただくことの大切さ

 

 

大の葬祭に勤めて、初めての異動も経験し、来月で1年が経とうとしています。独り立ちしてからは8カ月という月日が流れました。

日々お葬式に携わっていると、自分のなかで大切にしていることがだんだんと明確になってきたのを感じています。まずは、【納棺の儀】についてお話ししたいと思います。

 

離れ離れに暮らした娘が差し入れた手紙

 

想いを大切にする。エピソードNo.26-1

 

【納棺の儀】は私のなかで、とても大切にしている儀式のひとつです。

私たちスタッフや専門業者の方によって、お顔そり、お化粧、ドライ洗髪、洗髪、湯灌、お着替え、そして外傷がある方へは処置をさせていただいています。また、ご遺体を棺に納めさせて頂く時や棺の蓋を閉めさせて頂く時、布団をかける時、見えている範囲の清拭は、できるだけご遺族様にしていただくよう、スタッフから声掛けをしております。

 

この納棺の儀を大事にすることで、不思議とその方と故人様にしか通じ得ない空気感が生まれることがあるのです。

 

とある納棺の儀の時のこと。ある老齢の男性が天寿を全うされました。

近親のご遺族様が集まり、家族葬が執り行われ、粛々と納棺の儀を行っていたのですが、そこへ突然、1人の女性が入ってこられ、来るやいなや号泣され始めました。

ご遺族の皆様は、ちょっとびっくりしたご様子でしたが、すぐに「ようきたね」と声をかけ、その女性を中へ導きました。その方はどうやら故人様の娘さまのようでした。

 

故人様は、娘さまが高校生の頃から訳あって別々に暮らしていたそうですが、ここ近年、娘さまは時間の都合がつくときは、故人様のお家へ足を運ばれて様子を見に行かれていたと言います。

 

娘さまは、私との雑談のなかで「離れ離れになったとしても、どこかで繋がっているようだったし、自分も歳を取るにつれ、繋がっていなきゃいけないと思い始めました。父は1人暮らをしていたので、訪れるときはスーパーでお総菜を買って持って行ったりしていました。それは娘としての責任とかそういうレベルではなく、それ以上に血が繋がっているってそういうことなんだなって」と、話してくださいました。

 

そして最後、棺の蓋を閉める際に、娘さまはカバンからお手紙を取り出し、そっと棺のなかに差し入れました。

そこに書いてあることは想像しても計り知れませんが、きっとあたたかな別れの手紙に違いありません。

 

死ときちんと向き合うための時間に添うこと

 

人にはさまざまな「死に際」が訪れます。こと現代社会においては孤独死や無縁死と行った言葉がメディアで取り沙汰され、一種の社会現象として問題視されています。死ぬ時はもしかしたら1人かもしれない。それでも少なからず、大の葬祭を選んでいただいた方には、大切な誰かが必ず寄り添ってくださっている。

私はそのお手伝いがきちんとできる自分でありたい、そう強く感じたエピソードでした。

 

納棺の儀とき、さまざまなご家族のストーリーと出会います。

清拭の際、ご遺族様には「生前の労をねぎらいながらお声掛けをしてくださいね」とお伝えしておりますが、なかには、号泣される方もいらっしゃいます。

できるだけ思い残すことのないよう、私たちがお手伝いできる最大限のことをさせていただきたいと思っております。

 

お見送りで感じる、心あたたまるエピソード

想いを大切にする。エピソードNo.26-2

 

もう1つ、日々自分のなかで大切にしていることのなかに【お見送り】というのがあります。

 

【お見送り】というのは、ご遺族様がご葬儀を終え、帰宅されるときに見送ることなのですが、これは私が担当になってからずっと必ず続けている業務のひとつになります。

各会館の時には玄関先で必ずご遺族様が帰るときにお見送りを行っているのですが、その際は、

「お疲れ様でした」「ありがとうございました」と挨拶をし、一礼をいたします。

 

ご葬儀を承ってから最初の打ち合わせの時は、ご遺族様も緊張しているせいか、硬い表情からスタートするのですが、帰るときはほっとしている様子を伺うことができます。

 

時には、わざわざ私が立っている場所の前まで車を付けてくださり、窓を開けて「ありがとうございました。お世話になりました」と声をかけてくださるご遺族様もいらっしゃるのです。

 

 

納棺とお見送りで気持ちに寄り添っていきたい

 

【納棺の儀】と【お見送り】は、これからも大切に、担当として続けていきたいと思います。

 

私はまだ、先輩社員の方のように、指名によって担当したことがありません。

今後は先輩のように大の葬祭でまた自分を担当として指名していただけるよう、日々精進していきたいと思います。

 

 

お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。

しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はないのです。

私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じとり、つなぐことを使命としています。

「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想い出のストーリーをご紹介させていただきます。