想いを大切にする。エピソード

想いを大切にする。エピソード

2019.10.11葬儀の【事前相談】をすることは 縁起の悪いこと?

事前相談にいらっしゃったご家族を担当

 

私が葬儀施行を担当していたころのエピソードです。

 

数年前、事前相談をされ、ゴールド会員として入会されたご家族がいらっしゃいました。

弊社に足を運んでくださったそのご家族には、70代のおじいさまがいらっしゃいました。約10年前に奥様と死別されてからはずっと一人暮らしで、たまに息子夫婦が様子を見に来てくれる、そんな生活をされていたそうです。

 

おじいさまご自身は、「自分の最期は静かに見送られたい」との希望で、家族葬のプランを選択され、内容もほぼ決められておりました。

 

事前相談では予定していなかった想い出アルバム

 

事前相談では、プランの内容に含まれている【想い出アルバム】や、【オリジナル会葬礼状】の作成などのお打ち合わせをします。【想い出アルバム】はその名のとおり、ご家族と過ごした日々を振り返り、想いを見つめ直し、ご家族への新たな記録として残し伝えるためのアルバムです。

 

【オリジナル会葬礼状】は、従来の形式的な会葬礼状ではなく、その人らしい人柄をあらわし、ご遺族様の感謝の気持ちと想いを礼状に添えることができ、「ありがとう」と「おつかれさま」等の気持ちを込めたお手紙のスタイルで作成していきます。

 

想い出アルバムのお話をした際に「家内がいない家なので、整理整頓もできていない。写真もどこにあるか分からないし作らなくてもいいです」と言われましたので少し寂しい気もしたのですが、私も無理におすすめすることもしませんでした。そうしてその時は、想い出アルバムは作らない方向でお話しを進めました。

 

 

企業訪問をきっかけに想い出をつくることの可能性を知る

想いを大切にするエピソードNo.32-1 

それから半年の月日が経ったころ、私は【オリジナル会葬礼状】と【想い出アルバム】を制作している会社に企業訪問させていただく機会がありました。

 

こちらの制作会社では、「写真がないから動画は作れない」ではなく、【写真がなくても作れるオリジナルDVDの作成】に成功した企業です。

 

そのノウハウを知ったとき「このシステムがあれば、写真を揃えるのがむずかしいお客様でも、遺影写真だけでDVDを作って差し上げることができるんだ」と、これからの可能性を感じ意気揚々と研修先から帰って来ました。と同時に、ふとあのお客様のことが思い浮かんだのです。

それからすぐに私の自己判断ではあったのですが、そのDVDの作成を依頼し、できたらいつかお見せしようと思っていました。

 

 

 

喪主様の気持ちを震わせた、想い出アルバム

 

想い出アルバムとしてのDVDができあがり、しばらくしておじいさまがお亡くなりになられました。

結局、故人様となってしまったおじいさまには、遺影写真のみで作るDVDを見ていただくことは叶いませんでした。それから粛々とお通夜の準備は行われました。

 

お伝えすべきか悩んだ挙句、喪主様には見ていただきたいと思い、「私の判断で恐縮なのですが、DVDを作成させていただいたのですが、一度見ていただけませんか?」とお声がけし、動画を見ていただいたのです。

 

すると動画終了後、喪主様より「感動しました。DVDの力を感じました。今から家に戻って写真を集めるので想い出アルバムを作ってくれませんか?」とおっしゃってくださいましたが、なにぶん時間が足りません。

私は「通夜後のため、お時間的に無理なんです」という不甲斐ない返答しかできませんでした。

 

私の気持ちを察してくださったのか、「そうですよね。もっと早く親父と一緒に写真を探せばよかったですね」と。そしてこう付け足してくださいました。

 

「いえいえ、作っていただいたDVDで十分親父の想い出をふりかえることができます。明日の葬儀の時に流してくれませんか」。

そうして、ご葬儀の際にこの想い出アルバムを流すことができました。

 

この経験は、弊社の【事前相談】がなんのために存在するのか、私自身にとっても、非常に考えさせられるきっかけになりました。

 

 

 

葬祭の「祭」という言葉の意味。果たして「ケガレのセレモニーなのか?

想いを大切にするエピソードNo.32-2 

 

事前に葬儀の相談をすることに対して三者三様、十人十色、その印象はさまざまだと思います。

 

とくに日本では「死」につながること、たとえば

「縁起でもない」とか「忌み数」や「不吉」なことを避ける傾向にあります。

 

日本には「ハレとケ」という伝統的な概念が存在します。

このことは日本を代表する民俗学者の柳田國男氏が提唱したことで有名です。

 

「ハレ」とは節目を表す概念で「晴れ着」や「晴れの舞台」という言葉はここから由来していると言われ、非日常のことを指しています。反対に「ケ」は日常のことをさしています。この時間軸の循環こそが日本の民族性を表しているそうなのです。

 

「ハレ」には儀式としての清浄性や神聖さ、「ケ」には日常性や世俗性が表れています。結婚式はもちろん非日常的なお祝いなので「ハレ」ですが、葬儀についてはどうなのでしょう。

 

一般的な社会的概念からすれば「死」を意味する葬儀は不幸な出来事なので「ハレ」でも「ケ」でもなく、「ケガレ」ではないかと提唱する方もいらっしゃいますが、「ハレ」には「清め」と「祓い」の側面も持ち合わせているとも言われています。

 

ゆえに私は「葬儀」は「ケガレ」ではないと思っているのです。

現に「葬儀」は「葬祭」とも書きます。「祭」という「儀式」にあたる言葉の意味を私なりに解釈していくと、こういう結論に至ったわけです。

 

ご葬儀の事前相談を受けるのは、「生」の世界から「死」の世界へ向かうための清めと祓いの準備をすることだと思って、常にお客様と向き合っております。

 

※ここでお話ししたことはあくまで個人的主観です。葬儀の「ハレとケ」に関してはさまざまな論争があるようです。

 

 

自信を持ってご提案することが、よい葬儀につながると信じて

 

「人の最期」を見送る側として、その人の生きてきた証や尊厳を大切にすることに敬意を表し、あたたかなお別れをするためのサポートをしていくことを役割として業務についております。

 

弊社スタッフの対応はもちろん、湯かん(納棺)、動画(DVD)の素晴らしさは一度見ていただければ感動をお持ち帰り頂けると思います。

ただその良さを伝えられなければ、いくらよいものを用意して手招きしていても意味がありません。

 

まずはスタッフが自信を持ってご提案すること、お客様への対応から言葉の言い回しまで、自分なりにこれからも研究をしていきたいと思います。

 

 

お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。

しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はないのです。 

私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じとり、つなぐことを使命としています。

「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想い出のストーリーをご紹介させていただきます。