想いを大切にする。エピソード

想いを大切にする。エピソード

2018.5.07故人様の最期のお顔とお別れすること、その大切さを伝えていきたい

お葬式とは、大切な方との悲しいお別れの式ではありますが、

実は小さな小さなよろこびのシーンが生まれる瞬間があるのです。

 

それは、人と人が紡ぐ心あたたまるストーリー。

 

大切な方との別れのひとときを温かい思い出として、残された方々の心の中に生き続けてほしい。

 

大の葬祭では、そんなお手伝いをさせていただいております。

 

みんながきちんとお別れできるよう棺の蓋を閉めるタイミングを見極める

 

想いを大切にするエピソードNO15-1

 

ご葬儀でサブに入ると、出棺前のお花入れの後に蓋締めを任されることがあります。

 

この作業は一見なんでもないと思われがちですが、この蓋を閉めるタイミングを見極めることは、私の中ではとても重要な役目だと思っています。

 

お花入れの際、いろんなお別れのカタチを目にします。蓋を閉める前の段階で棺から離れられない人、逆に棺に近づこうとしない人、その2つのカタチがあります。

 

 

棺に集まっていると、比較的みなさん集まりやすいのか棺の周囲にいらっしゃるのですが、1人が遠巻きに見ていると、周りの皆さんも同じように遠巻きに見ています。

 

そんな「お別れをしたいけど、近づいていいのか分からない」という雰囲気で近づけずにいらっしゃる方には「どうぞ皆さま、最後にお別れの言葉をお掛けください」

 

と、故人様の顔を見たり話しかけたりできやすいように促しています。

 

逆に棺から離れない場合は、お別れの最中にも感情の波というか、気持ちにキリがつき落ち着くタイミングというものがあるので、それを見極めて蓋締めの案内をしています。

 

記憶に残らないけど心に刻まれる、心が震えたお花入れの瞬間

 

想いを大切にするエピソードNO15-2

 

あるお葬式のお花入れの場面をお話します。

 

故人様は若くして亡くなられ、残された奥様との間には3歳の娘さんと1歳になったばかりの息子さんがいらっしゃいました。

2人の幼子は、まだ自分の父親になにが起きたのか、もちろん理解できません。そんな中式は進行していきました。

 

娘さんは喪主であるお母さんの膝の上、息子さんは眠たくてぐずったので叔母さんに抱かれて会場を後にしました。

 

そして、出棺前のお花入れの時がやってきました。

 

故人様を偲ぶため、ご遺族の方をはじめ多くのご友人の方が棺を囲み、涙を流しお声がけしながらお花を添えておりました。

その光景は、故人様がどれだけ多くの方に愛されていたか分かるほどに、そのお別れを惜しむ声が会場に響いておりました。

 

そしてタイミングを見て、そろそろ蓋に手をかけ締めようとした瞬間、

 

「待って〜!」

 

と叫ぶ声が聞こえてきたのです。

 

声の主に目を向けると、席を外された叔母さんが目を覚ました故人様の息子さんを抱っこして小走りでかけてきたのです。息子さんにパパの最期のお顔を見せてあげたかったんだと思います。

 

目を覚まされた息子さんはしっかりとパパを見ているようでした。

叔母さんが最後のお花を息子さんの手に握らせ、それを棺の中に添えて蓋を閉じました。

 

まだほんの1歳です。

 

成長していく過程で、彼の記憶にはその光景はないかもしれない。

でも最期にご対面したことは息子さんにとってだけではなく、故人様とそのご遺族にとっても大きな意味があったのではないでしょうか。

 

私自身も今年の2月に祖母を亡くしました。

葬儀の後出棺し、火葬棟に到着後、時間が迫ってたというのもありますが、棺の中の祖母の顔をまったく見ることができませんでした。

 

自分の経験と自分が出会った光景をみさせていただいて、改めて出棺前の蓋閉めのタイミングというのは、葬儀においてすごく大切だなと感じております。

 

場の雰囲気を読み、ちゃんと区切りが付けられる様にと常に心かげています。