想いを大切にする。エピソード

想いを大切にする。エピソード

2019.2.12対話で実感。葬儀社としてのあるべき姿

お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。

 

しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はないのです。

 

私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じとり、つなぐことを使命としています。

 

「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想い出のストーリーをご紹介させていただきます。

 

亡くなったご主人の生き様に耳を傾ける

 

大の葬祭みえ会館には【はーとねっとCLUB】の会員さまがご利用できる「SHOP&LOUNGE」あり、予算や作法といった葬儀にまつわるあれこれを気軽に相談していただきたく解放しております。

今回お話をさせていただくのは、2ヶ月前にご主人を亡くされた奥様のお話です。

 

葬儀を終えて「SHOP&LOUNGE」へ相談にお越し下さった際には、とても鎮痛な面持ちでいらっしゃいました。心労もたたっておいでのようでしたので、個室ブースにご案内してお気持ちをいたわりながら慎重にヒアリングをさせていただきました。

 

ご主人が旅立たれ、ご自分と残る3人の子どもたちのためにも、ご仏壇のことやお墓のこと、相続のご相談をされました。

そのなかで思い出をポツリポツリと話してくださいました。

 

生前のご主人は、家のことはなんでもしていたそうです。

農村家屋である古い家は、すき間風がひどかったため暖炉をおこうと思い立ち、ご自分で取り付けたり、孫たちが帰ってくる夏休みには庭でBBQができるように、木材を集めて椅子とテーブルを作ったり。とても器用な方だったそうです。

「こういうの元祖DIYって言うのかしら。修理は自分でするもんだって、なんでも修理しては使い続けていたのよ」と、病に倒れる直前まで動き回っていたと言います。

 

家にはご主人の愛用の品々が多く残されており、その物たちに囲まれた家で1人過ごすのはとても寂しいとおっしゃっていました。

 

私にできることは耳を傾け、うなずく程度のこと。「気の利いた一言でも言えれば、私も立派な葬儀スタッフになれるものを」と自分の情けなさに落ち込むこともありました。

 

それでも奥様はラウンジに足を運んでくださり、私と対話をしてくれるのでした。

 

遺品整理で見つけた、意外なものとは?

 

想いを大切にするエピソードNo.25-1

 

2ヶ月経ったある日、思いがけないことを話してくれました。

 

遺品整理をされていた時のこと。ご主人の作業小屋が庭の一角にあるのですが、「ここの整理もしていかなきゃ」と思ってのぞいた時、あるものを見つけたそうです。

 

それは取り付け棚でした。

台所の流し台には窓があるのですが、窓の前にちょっとしたタイルばりのスペースがあり、そこには木製の棚が設置されていました。

 

奥様がこの家に嫁ぎ、子どもたちにも恵まれてから、家族は曾祖父母、祖父母を含む9人の大所帯になったそうです。

 

そんな大家族の食事を毎日作るため、炊事場に立つ奥様を労って、ご主人が窓の前に棚を2段設置してくれたそうです。

それから40数年が過ぎたある日、ついに一段目の金具が取れ、置いてあった鍋や皿が落下してしまったそうです。

 

9人だった家族も曽祖父や曽祖母、祖父が逝き、さらに祖母が施設へ入り、子どもたちもみんな巣立ち、夫婦2人の生活に。「お父さんもういいで。棚は一段のままで十分やけん」と伝えていたそうです。

それなのに、ご主人はコツコツと作業場で修繕をしていたそうです。

「そんなことしているなんてつゆ知らず…。私が知ったらもういいって言われるから黙っちょったんやなぁ」と。

結局、その棚のことは奥様に内緒にしたまま、ご逝去されたのでした。

 

 

遺品がもたらした希望の光と輝く思い出

 

ご主人の遺品の中に愛情のこもった棚を見つけて、ようやく奥様は生気を取り戻したといます。

 

「くよくよしていても仕方ない! お父さんが最後までできんかった仕事は私が引き受けちゃる」と、これまで力仕事や家の修繕はご主人に任せきりだったのですが、ご主人愛用の工具を取り出して、見よう見まねで取り付けてみたそう。

すると「できたのよ!」とその表情は明るく、以前の奥様とは全く別人のように輝きに満ちていたのです。

「たくましく生きていかなきゃいけない。古い家だけどお父さんが大事にしてきた家だから。この前はねこ(一輪車)のタイヤ交換を自分でしたのよ」というお話や「洗濯機のベルト交換をするために、今発注をかけているの」など、とても前向きに話してくださいました。

 

ついつい私もうれしくなり、ブーズは笑い声でいっぱいになったのを覚えています。

 

残された方の人生のワンシーンに寄り添う

想いを大切にするエピソードNo.25-2 

 

ここからは、私の勝手な想像の範囲でのお話です。

 

ご主人を亡くされた奥様の悲しみは、ずっと癒えることはないかもしれないけれど、前向きに生きていくことはできると思うのです。

前進できたのは、きちんとお別れをすることができたからだと思わずにはいられないのです。

 

もししっかりとお別れができていなければ、その方は辛く悲しい気持ちを抱えたまま生きて行かなければならないかもしれません。

そう思うと、葬儀社の役割はとても大きく重要なものであると痛感しました。

 

その方の人生を左右する大事な日に携わっているのだなと改めて、真剣に考えさせられました。